とうとう、最後になっちゃいましたね・・アジアカップ参加8カ国を順番に紹介してきましたが、今日で全部になります。最後に紹介するのは東南アジアの雄であるタイ。以前は江本孟紀氏が総監督を務めていた事もあって多少は一般の野球ファンにもタイに野球があることを認知してもらっているようです。アジアの野球において、20年ほど前までは日本、韓国、台湾、中国、フィリピンの五カ国は古くから野球の歴史があった(フィリピンは気候の関係もあり衰退、中国も大文化革命により野球ができない時期があった)のに対して、多くの国は野球の「や」の字すらなかった現状でした。オリンピックの正式種目を目指していた当時の野球界は、IOCが求める加盟国数の要件を満たすため、とくにアジアでは多くの国で野球連盟が作られ、野球普及について本格的な活動を始めた時期でもありました。そして日本人が計画的に最初に野球を普及させようと試みたのがこのタイという国。そのかいもあって現在はもとから野球があったさっき挙げた5カ国に次ぐアジア6番目の地位を獲得。アジアの野球新興国の先頭に立ち、いいお手本として徐々にですが発展を遂げています。そんなタイの野球の歴史や野球事情を紹介して、タイ野球の今、現在、未来を探りたいと思います。・タイ野球の歴史
1993年に国際野球連盟に加盟。同時期に元慶応大学野球部監督の榊原敏一氏が、日本企業ミネベア社のタイ進出時の責任者となり、彼が同社やアジア野球連盟の協力を得ながらタイ野球の礎を築く。その後もJICA隊員(青年海外協力隊)から定期的に指導者が派遣され、ここ数年は元阪神の渡辺博敏氏が指揮。一度元ダイエーの寺岡孝氏が代表監督になりましたが、寺岡氏が台湾・興農ブルズのコーチ就任に伴い、再び渡辺氏が代表監督となっている。ちなみに現在もミネベア社を含め、多くの日系企業によってタイの野球は支えられてるとのこと。
98年のバンコク・アジア競技大会がおおきなターニングポイントで、野球競技開催の為に東南アジア初の野球専用球場が建設。隣の第二グラウンドも併せて、東南アジア野球の拠点となっており、多くの国際大会(つってもほとんどアジアカップ)やBFA(アジア野球連盟)主催の野球クリニックが行われるなど、タイの野球発展におおきく貢献したと言われている。
2007年アジア選手権では、元阪神・南海の江本孟紀氏が総監督となり、日本での合宿や練習試合の手配、道具の支援などを行った。・国内リーグ現在は4月から6月ごろにかけて、週末に試合を行うスタイルでリーグ戦が行われています。だいたい20試合くらいでしょうか?二部リーグまでまであって、参加しているチームはクラブチームのほかに大学のチームもあるようですね。・白倉キッサダー現在は社会人野球のホンダ鈴鹿でプレーする元タイ代表投手。上田西高校を経て、亜細亜大学では東都リーグで防御率のタイトルも獲得したこともあり、ドラフト候補にもなった。
140キロ前後の速球と縦に割れるカーブが特徴。日本人の父とタイ人の母を持ち、小学5年生で来日して野球を始める。高校生のころから幾度も代表に選出され、一枚エースとして国際大会では連投を辞さない投球で、チームの実力以上の結果を代表にもたらしタイ野球の発展に貢献した。これまではタイ国籍だったのですが、これからの生活や野球人生を考慮して日本国籍を選択、昨年のアジア選手権がタイ代表のユニホームを着る最後の試合となりました。・ナショナルチームおよそ20年近くに渡って日本人の指導者の元、野球の指導を受けてきた国だけあって、野球のスタイルは日本の高校野球さながらです。僕は昨年の成田で行われたアジア選手権の一次リーグを観戦したんですが、肌の色さえ違わなければ、高校野球と間違ってしまいそうなイメージでした。鍛えられた基本に忠実な守備に、バントを絡めたつなぎの打撃、投手は力任せではなく、丁寧なピッチングがベースになっています。日本でプレーした経験がある選手が多いのもそのスタイルに影響しているでしょうか。
95年の第一回アジアカップが国際大会初出場。その後もコンスタントに国際大会に出場し、地元で開催した第二回と第六回のアジアカップでも優勝している。また、98年地元のバンコク大会から今年行われる広州まで4大会連続でアジア競技大会にも出場。・近年の国際大会
2007年のIBAFワールドカップでは、台湾での開催だったため、政治的な影響で予選にあたる05年アジア選手権4位の中国が辞退し、5位のタイが繰り上げで初出場となった。全試合に渡って世界の強豪に実力を見せつけられるという結果になってしまったんですが、いい経験になったことだと思います。対オランダ 0-16対カナダ 0-18対韓国 2-18対オーストラリア 1-26対ドイツ 0-2対キューバ 1-11対ベネズエラ 3-17そしてこれが昨年のアジアカップの結果とアジア6番目のシードとして出場したアジア選手権の一次リーグでの結果第8回アジアカップ対スリランカ 1-3対マレーシア 16-0対パキスタン 4-9対ミャンマー(5位決定戦) 5-0第25回アジア野球選手権一次リーグ対日本 0-12対フィリピン 0-8対インドネシア 6-1アジアカップでは初戦のスリランカ戦でまさかの敗戦をしてしまった事もあり、史上最低の4位に終わってしまった。しかし、アジア選手権ではアジアカップ優勝のインドネシアに勝利し、日本戦でも奮闘をみせましたそしてこれがそのタイ代表の昨年のアジア選手権でのロースター。おそらくこれに近いメンバーが今回のアジアカップにも参加するのではないでしょうか?ナタポン・ミーブンロッド 左左 1983.10.12 171・53 投手 F.20 クリサダ・ヒープトング 右右 1986.4.17 178・82 投手 ホンダ鈴鹿スィラポップ・ナディ 右右 1992.10.15 173・55 投手 suphanburi セック・スィティガオ 左左 1991.5.20 170・70 投手 岡山山陽カモルバン・ガンジャナビシット 右右 1989.9.6 175・95 投手 Nice ティバディン・アジャラヤンクル 右右 1990.5.8 180・65 捕手 Nice チャナティップ・トンバイ 右右 1985.4.28 177・76 捕手 suphanburi ボンコット・アナンタナサン 右左 1992.4.24 166・60 捕手 suphanburi ニラン・ジャロンキッシリウォン 右右 1989.3.2 174・65 内 suphanburi アビチャット・ンガミング 右左 1980.9.12 174・65 内 suphanburi ソムサック・サーンウィット 右右 1975.1.12 169・65 内 Nice ナタポン・サンパンスウィット 右右 1983.11.25 173・74 内 F.20 ティーラサック・コングサバイ 右右 1972.1.13 170・75 内 Kasetsart スヒキアット・ブンナン 右右 1988.5.30 182・80 内 Nice ヤナパット・アポンスィリ 右右 1988.10,2 171・65 外 Nice アカウィット・ザータン 右右 1988.12.8 161・65 外 suphanburi ジラポッド・スィリサイペット 右右 1986.9.24 173・66 外 suphanbri チッサヌ・ジャンラック 右左 1985.8.14 171・68 外 suphanbri アヌクル・スッサワッド 右右 1984.7.2 164・55 外 kasetsart 左から順に名姓、投打、生年月日、身長体重、守備登録、当時の所属チームです。・主な選手 アヌクル 外野手 右投右打成田では正二塁手として活躍。肩に難がありそうだったが、守備で軽快な動きを見せたチッサヌ 外野手 右投左打二番センターが定位置。やはりスピードがある選手だった。ニラン 内野手 右右三番サードの主力選手。ベンチに飛び込む大暴投をしていた。ナタポン・サンパンスウィット 指名打者 右右
4番でDHという、タイの強打者。インドネシア戦ではレフトスタンドにチーム唯一の本塁打を運ぶソムサック 内野手 右右体は小さいが、センスを感じさせる選手で、肩も強いセック 投手 左左投手登録ながらも外野手で出場。おかやま山陽高校に、かつてインドネシア代表などを指導した堤尚彦氏が監督を努めている関係もあって、当時は野球留学していた。チャナティップ 捕手 右右もともとは投手なだけあって、スローイングが際立っていた。白倉キッサダー投手のボールを受けるため、横浜の二軍施設で猛練習を積んだとか。ティーラサック 内野手 右右一塁手にしては体が小さいが、味方の乱れた送球をしっかり処理していた。チーム最年長。 スヒキアット 内野手 右右日本に野球留学経験のある選手。国際開洋一高では通算7本塁打を放つなど、恵まれた体格から放たれる打球は力強い。仙台大学でもプレーし、現在は母国でプレーしているようだ。ポジションは一塁手。ナタポン・ミーブンロッド 投手 左左タイ代表左のエース。和田毅のような変則左腕。120キロ代のストレートと横滑りの大きなスライダーが特徴 スィラポップ 投手 右右スライダーを多投する。カモルバン 投手 右右現在のタイ代表のエース格。伊良部のようなフォームからスライダーやフォークを投げる。昨年のアジア選手権・日本戦で最初の三イニングを無失点に抑える好投。丁寧な投球が持ち味。予想オーダー
R1アヌクル 二
L2チッサヌ 中
R3ニラン 三
R4ナタポン・サンパンスウィット 指
R5ソムサック 遊
L6セック 右
R7チャナティップ 捕
R8ティーラサック 一
R9ジラポッド 左・まとめ昨年のアジアカップではまさかの5位に終わったタイ代表。今年は王座奪還と、アジア選手権出場を目指します。そしてその先にはワールドカップも見据えているはずです。昨日のパキスタン編で紹介したとおり、アジア選手権の5位のチームまでがワールドカップ出場権を獲得できることが濃厚です。白倉投手抜きでフィリピンという大きな壁を越えなければなりませんが、そのためにもアジアカップではきっちり優勝しておきたい所です。白倉投手という、大きな柱が抜けたタイ代表は、今年から新たなスタートを切ります。彼がいなくなったせいで勝てなくなった、なんて言われてしまわないように頑張ってもらいたいと思います。
IBAFランキング:18位(アジア5位)アジアカップ:6大会連続8回目(過去二回優勝・前回5位)目標:優勝管理人予想順位:二位
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