今シーズンの巨人新助っ人はサブカルだ。先日、「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」と「さよならドビュッシー」という2本の映画を続けて観た。前者は今年度のアカデミー賞で作品賞を含む主要11部門でノミネートのハリウッド大作。後者は「このミステリーがすごい!」大賞受賞作を橋本愛主演で映画化の半アイドルムービー。プロ野球で言ったら、「ライフ・オブ・パイ」が楽天のジョーンズクラスのビッグネームのメジャーリーガー。高い前評判と圧倒的なスケール感にビンビンの3D映像の力技でショーとして成立させる。とりあえず1度はジョーンズ見ておこうぜと野球ファンはスタジアムに足を運ぶだろう。対照的に「さよならドビュッシー」は小粒だ。ミステリー要素はほとんどなく、2時間ひたすら主演の橋本愛のキュートさで押し切るという無茶ぶり。フラフラになりながらも、ひとつの大きなネタを中心になんとか映画として成立させる。ビッグバシェットのメジャーリーガーじゃなくても、やれるんだぜ。まるで今シーズンの巨人の新助っ人、ロペスやアコスタみたいなものだ。実績やネームバリューではジョーンズやラヘアーに劣るものの、その分ギミックで勝負。ロペスはマリナーズ時代に組んだイチローとの1・2番コンビがスポーツ新聞の売り文句。キャンプ4日目にして初のブルペン入りをしたマリアーノ・リベラの弟分アコスタは、深々と体を折ってからセットポジションに入る「お辞儀投法」を披露。阿部相手に得意のフォークやわしづかみチェンジアップを織り交ぜ31球を投げ込んだ。もちろん「同郷のヤンキースのリベラを真似た」フォームである。私はG+のキャンプ中継でこの映像を確認したが、デカいし迫力はあるものの正直硬い投手だなあと思った。全力で投げたらかなりのノーコン疑惑と思ったら、メジャーでの通算与四球率は悲しみの4.25。ぶっちゃけクローザーとしては厳しいんじゃないだろうか、とツイートしたわけだが、なんと視察した阪神の太田スコアラーは絶賛。「リベラに似ている。背格好や腕の振りはクルーン。祈るようなフォームは球児もやっていた」ここでどんだけスゴイねんなんて突っ込みは野暮だろう。ベットイン前の洋モノは妄想だけが先走りがち。ナマで見るメジャー通算200試合以上に登板した中継ぎ職人は伊達ではないということだろうか。アイドンノー。またひとりオープン戦でじっくり見極めたい投手の出現である。(以前の記事でアコスタはWBCパナマ代表で離脱と書いてしまったが、ツイッターでパナマは既に予選で敗退していると指摘あり。かたじけなく候)さて、本日の「プロ野球死亡遊戯」はやはりサンスポのこの記事にぶっこまないわけにはいかない。「大田1番」原監督、エモやんに仰天オーダー激白!不意打ちのパンチラのような、アナーキーな記事をかますことで定評のあるサンスポがまたやってくれた。サンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏(65)が4日、巨人の宮崎キャンプで原辰徳監督を直撃。宮崎サンマリンスタジアム。打撃ケージ裏の指揮台に、並んで座って30分。原の辰っつあんは今季オーダー構想について、「今年も阿部を中心」と明言した直後にこう語った。「大田を1番で使えるようにしたいんですよ」つまるとこ、侍トップバッター長野のクリーンナップ起用のための秘策。辰っつあんの13年サプライズプランがついにちょいモレだ。「何も30本も40本もホームランを打てとは言わない。それでもちょっとでも甘い球がきたらガツンといける力のある打者が1番にいるのが理想」常々そう公言している原トップバッター論だが、ある意味、長野はベストに近い。
3割、20本塁打、20盗塁をクリアできる1番打者は現在の球界でこの男だけだろう。ただ、やっぱり将来的には中軸で使いたい。となると、当然じゃあ1番どうすんねんとなる。松本哲や藤村は走れても、パワーはナッシング。橋本到は意外と中距離打者の資質があると思うが、まずは1軍定着が先決だろう。そこで、背番号55のハイブリッドモンスターの登場だ。
188センチ、92キロ。22歳。日本プロ野球史上に残る大型1番ぶっこみ。
2011年にはイースタン2位の28盗塁も記録。いったい大田はどこに向かっているのか?多くの巨人ファンは心から心配したが、彼の滑り込んだ先は巨人トップバッターの座だった。大田泰示の凄さはパワーやロケットアームはもちろん、それを支える身体のバネだ。メジャーのスカウトも思わずビールを吹き出したというフルスイングかましてからの走りだしの早さ。まるでリバウンドを飛んだあとの桜木花道のダッシュ力である。もちろん打撃はまだまだ荒い。実質、コンバート2年目の外野守備もこれからだ。それでも私は懸ける価値のあるぶっこみだと思う。大田1番が成功したら、「坂本、阿部、長野」というクリーンナップが実現する。眠れるハイブリッドモンスターが巨人の未来図を大きく変えることになるだろう。大田本人も「1番はチームを勢いづかせる役目。僕は長打も打てる、攻撃的な1番を目指したい」と意欲満点。私が知る限り、大田がここまで前向きかつ積極的なコメントを残したのは初めてだ。ホントは1番打ちたかったんでしょ?合コンゲームセット後に「オレ、実は1番左の子が」なんて言ったところで後の祭り。今しかねえぞヤング・ジェネレーション。ちなみに原監督はエモヤンに高木京介先発構想も再度強調。「先発で使いたいんです。糸井(現オリックス)を打ち取ったのが忘れられませんから」えっ、それだけ?浅い。原野球は浅すぎて、深い。澤村抑え構想と同じく、ツーケーを叩くフェイク発言なのか、マジでぶっこむガチ構想なのかは誰にも分からない。こうして、巨人ファンは原の辰っつあんの浅くて深い海で今日も気持ちよく泳ぐのだ。
See you baseball freak・・・
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